主催:
「第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ 2016」 推進委員会
一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団
京都市美術館
共催:
京都新聞
NHK京都放送局
後援:
京都府
京都府教育委員会
京都市教育委員会
京都商工会議所
京都経済同友会
朝日新聞
毎日新聞
KBS京都
α-STATIONエフエム京都
助成:
公益財団法人花王芸術・科学財団
公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団
公益財団法人朝日新聞文化財団
公益財団法人野村財団
受賞者
第2回PATinKYOTO
優秀賞
金光男
row – mat or row – kanaami
シルクスクリーン印刷
screen printing
パラフィンワックス、綿布、バーナー、パネル
paraffin wax on cotton cloth, burner, panel
227.3×162×5cm
2016
row – umi #
シルクスクリーン印刷
screen printing
パラフィンワックス、綿布、バーナー、パネル
paraffin wax on cotton cloth, burner, panel
181.8×259×5cm
2014
シルクスクリーン印刷
screen printing
パラフィンワックス、綿布、バーナー、パネル
paraffin wax on cotton cloth, burner, panel
80.3×60.6×3cm
2016
シルクスクリーン印刷
screen printing
パラフィンワックス、電球
paraffin wax, bulb
140×90×3cm
2016
ニッシャ印刷文化振興財団賞
山田純嗣
(14-4) LANDSCAPE WITH THE SUN AND MOON
インタリオ・オン・フォト(エッチング、ゼラチン・シルバー・プリント)、パールペイント
intaglio on photo (etching, gelatin silver print), pearl paint
ポリコートパネルに印画紙、樹脂、ラメ
photographic paper on poly court panel, resin, lame
2点組 各149×315cm
2014-2015
(14-4) LANDSCAPE WITH THE SUN AND MOON three-dimensional model
ジェッソ、粘土、針金、ウレタンフォーム
gesso, clay, wire, urethane foam
2点組 各150×150×50cm
2014-2015
インスタレーション・ビュー
インスタレーション・ビュー
ごあいさつ
京都版画トリエンナーレは今日の版画の状況に斬新な局面を切り開こうという意欲のもとに2013年に出発しました。幸いにして第一回展は期待通りの充実した展覧会を実現しえたと自負しておりますが、その成果を踏まえつつ、今回、決意も新たに第二回展を開催することになりました。
周知のように昨今、デジタルテクノロジーがさまざまなアートの領域に進出しており、版画もその例外ではありません。しかし版画の原点である“刷る”という独自のプロセスはそうした時代にあっても意義が薄らぐどころか、むしろより積極的な可能性をもつものとして見直されつつあるように思われます。考えようによっては版の介在こそが手による制作の深い味わいをもたらすと同時に、他方では直接的な身体性のみに自足しない表現をも誘発し、アーティストたちの意識を環境的な空間やコンセプチュアルな方向へと、大きく飛躍させるのに寄与してきたのです。
本トリエンナーレは、これまで各地で開かれてきた版画展とは異なった二つの特質があります。版画は郵送などによる出品が比較的容易なため、従来から公募形式のコンクール展が数多く開催されてきました。もちろんそれはそれで新人の登竜門などとしての重要な役割をはたしていますが、悪くすれば応募作品数の膨大さばかりを競い合うようなことにもなりかねません。そこで本展ではあえて経験豊富な推薦委員による推薦制を取り、注目され始めたばかりの若い世代から今もっとも旺盛な制作活動を展開している中堅のアーティストまでの20名に絞った展示を行うことにしたのです。
もう一つの特質はそれぞれのアーティストにかなりゆったりとしたスペースを用意し、個展の連鎖ともいうべき会場構成を取っていることです。版画ならではのシリーズ作品を説得力のあるボリュームを持たせて紹介することもできますし、また床面をも使った大規模なインスタレーションを試みることも許されるのです。いま京都で一堂に会した現代版画の精鋭たちのスリリングな挑戦を楽しんでいただくとともに、京都版画トリエンナーレの今後の歩みに一層のご支援を賜るようお願い申し上げます。
第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ 2016
推進委員長 建畠晢
版画装置の創案と拡張に向けて
フランスの評論家による『彫刻家イヴ・クライン』という本を読んだことがある。あのモノクローム・ブルーの空間画家イヴ・クラインが実は彫刻家だったという話だ。その絵画もあんなにヴォリュームたっぷりではないかという論旨だった。ふと思ったのは、ならば版画家イヴ・クラインともいえるのでは、ということだ。念頭に浮かんだのは、イヴによるアントロポメトリ(人間測定)の試みである。よく知られているとおり、IKB(インターナショナル・クライン・ブルー)を塗られた裸婦がイヴの指示により体から直に支持体に転写するというものだ。この試みは、版画についていろいろなことを考えさせる。とりわけ、転写と支持体との関係について。
ポストモダンの理論家として知られる哲学者リオタールは、色の刻印と支持体と場との関係によって、絵画の歴史を展望してみせたことがある(『欲動装置』)。刻印と支持体と場との関係が流動化していくプロセスとして、現代絵画への歴史を示したのである。この魅力的な見方を、ここで転写と支持体との関係へと横すべりさせてみよう。
転写がAから支持体Bへと行われるとする。たとえば木版から紙へという具合にである。この転写のありように版画的なものを見るならば、20世紀のアートには版画的なものがいくつも見いだされよう。シュルレアリスムに探れば、フロッタージュやデカルコマニーなど、現代的に見れば版画といいきってもよいほどだ。事実、これらの技法は現代でも、狭義のシュルレアリスト以外に幅広く利用されているといってよい。要するにAに当たるものとして新たに何が持ってこられるか次第で、版画の拡張が行われたともいえよう。いいかえれば、版概念の拡張である。
Aをフィルムとすれば、さらに版画的なものは広がるだろう。複数のフィルムを重ね合わせるダブル・プリントやソラリゼーションなど、20世紀のアヴァンギャルドとゆかりのある技法は多い。フィルムを直接Aにしないものでも、写真を用いる版画は多いから、なおさらである。
最近はあまり聞かなくなったが、一時はファクスを用いた美術もよく目にしたものだ。この場合、Aはファクス装置ということにでもなるだろうか。そうなると、版画となるはずだ。いうまでもなく、コンピューターと連動させるプリンターもまた、新たに加わった版画装置である。いま版画装置といった。要するに、絵の具であれ、インクであれ、感光剤であれ、鉛筆であれ、転写の際に刻印されるものをxと置くならば、AxBで表されるものを版画装置と呼ぶことができる。そして、Aであれ、xであれ、Bであれ、新たに何を持ってくるかで、新しい版画表現が成立し、版画の拡張も行われるということになろう。イヴ・クラインのアントロポメトリであれば、AxB(A=女体、x=IKB、B=紙ないしはキャンヴァス)という版画装置となる。
しかしである。それだけにとどまるだろうか。同じイヴ・クラインにスポンジ彫刻といわれるものがある。さまざまな形のスポンジすなわち海綿にIKBを浸透させた作品シリーズだ。確かに、イヴ本人も認めていたとおり、それらは立体作品であり、彫刻と認められるべきものかもしれない。しかし、同じくイヴ自身のコンセプトでは、非物質的で不可視のブルーが可視化しつつ浸透したものがスポンジ彫刻なのである。その観点から見ると、つぎの版画装置、AxB(A=不可視のブルー、x=IKB、B=スポンジ)が成立するとはいえないだろうか。イヴ・クラインの活動全体は、不可視のブルーと可視的なブルーとの往還からなるものと理解されうる。その往還のどこに何を挿入するかで、たとえば、アントロポメトリになるだろうし、またスポンジ彫刻にもなるだろう。そしてそのそれぞれが版画装置として解されるなら、その往還のサイクルは、巨大な転写装置とも見えてくる。こうして版画家イヴ・クラインは、新たな版画装置の創案と拡張へと鼓舞してやまないのだ。
第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ 2016
推進副委員長 篠原資明
第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016推進委員会
委員長
建畠 晢(多摩美術大学長、美術評論家)
副委員長
篠原資明(京都大学教授、美術評論家)
鈴木順也(ニッシャ印刷文化振興財団理事長)
委員
NHK京都放送局長
京都新聞COM社長
星川茂一(前京都市副市長)
木村光佑(版画家 元京都工芸繊維大学長)
大谷 實(学校法人同志社総長)
八田英二(前同志社大学長)
秋山 哲(イスラエル親善協会理事長)
石田隆一(株式会社イシダ名誉会長)
田中恒子(大阪教育大学名誉教授)
吉田忠嗣(吉忠株式会社代表取締社長)
鈴鹿且久(株式会社聖護院八ツ橋総本店社長)
第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016実行委員会
委員長
木村秀樹(画家/版画家 京都市立芸術大学名誉教授)
副委員長
尾﨑眞人(京都市美術館学芸課長)
出原 司(京都市立芸術大学教授)
委員
長尾浩幸(成安造形大学准教授)
竹澤恵太(ニッシャ印刷文化振興財団)
事務局代表 谷口宇平
推薦委員会
第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016実行委員会によって選出された、
全国の批評家、美術館学芸員、研究者、ジャーナリスト、作家などに、作家1名の推薦を依頼。
推薦委員 滝沢恭司(町田市立国際版画美術館学芸員)
荒木夏実(森美術館キュレーター)
太田三郎(美術家)
西元洋子(ギャラリスト SAIギャラリー主宰)
山中英之(京都新聞論説委員長)
井上芳子(和歌山県立近代美術館学芸課長)
中林忠良(版画家)
山口啓介(美術家)
太田雅子(横浜美術館学芸員)
加須屋明子(京都市立芸術大学教授)
清水 穣(批評家・同志社大学教授)
三脇康生(精神医学・美術批評)
出原 均(兵庫県立美術館学芸員)
松尾 惠(ギャラリスト)
金澤 毅(美術批評家)
森山貴之(横浜美術大学准教授)
小吹隆文(美術ライター)
谷 新(宇都宮美術館長)
竹葉 丈(名古屋市美術館学芸員)
岩渕貞哉(『美術手帖』編集長)
審査員
建畠 晢(推進委員長、多摩美術大学長)
潮江宏三(京都市美術館長)
篠原資明(京都大学教授)
木村秀樹(画家/版画家・京都市立芸術大学名誉教授)
鈴木順也(ニッシャ印刷文化振興財団理事長)
第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ 2016の実現にあたりご協力頂きました、企業・団体・個人、各位に厚く感謝の意を表します。
後援
京都府、京都府教育委員会、京都市教育委員会、京都商工会議所、京都経済同友会、朝日新聞、毎日新聞、KBS京都、α-STATIONエフエム京都
助成
公益財団法人花王芸術・科学財団
公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団
公益財団法人朝日新聞文化財団
公益財団法人野村財団
協賛
suntory、ダイキン工業株式会社 、西日本旅客鉄道株式会社、みずほ銀行、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱東京UFJ銀行、日東薬品工業、ジーク株式会社 、画箋堂 KINTETSU、積水ハウス株式会社、阪急電鉄株式会社、SHISEIDO 、岩谷産業株式会社、藤澤涼子、株式会社大林組、大和証券、野村證券、京都信用金庫 、株式会社片岡製作所、明治安田生命保険相互会社、京都銀行 、京都中央信用金庫 、野口建設株式会社、Awagami Factory 、アートトランジット株式会社、燦ホールティングス株式会社 、がんこフードサービス株式会社、アートゾーン神楽岡、芸艸堂、株式会社聖護院八ッ橋総本店、権野工機株式会社、ギャラリー16、アートスペース虹、B-gallery、ギャラリーおおみち、ギャラリーいろはに、ギャラリー恵風、アート・デ・アート、一般社団法人CWAJ、日本ギャラリーネットワーク協会、藪内真之、堀江照二、佐藤孝悦、飯田吉平、浅野紀美、大河内仍美、松田英夫、安東孝、谷口行平、東中稜代、谷口全平、田中良示、幸亀一夫、谷口安平(敬称略)
協力(敬称略)
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