垣内玲

Kakiuchi Rei

1969 大阪府生まれ
Born in Osaka

1994 京都精華大学テキスタイルデザイン科卒
Kyoto Seika University, Textile Design

1995 ギャラリー16(京都)
Galeria 16, Kyoto, Japan

1999 ギャラリーOU(大阪)
Galeria ou, Osaka, Japan

2005 個展「she said repeat after me」 サイギャラリー(大阪)
Solo Exhibition “she said repeat after me” SAI gallery, Osaka, Japan

2006 「ドローイングと…」 サイギャラリー(大阪)
“Drawing and…” SAI gallery, Osaka, Japan

個展「Master Slave Control」 サイギャラリー(大阪)
Solo Exhibition “Master Slave Control” SAI gallery, Osaka, Japan

2011 個展「Except Rules」 サイギャラリー(大阪)
Solo Exhibition “Except Rules” SAI gallery, Osaka, Japan

2012 「Tattoo City」 キャスルフィールドギャラリー(マンチェスター)
“Tattoo City” Castlefild Gallery, Manchester UK

2013 ダッチ アート インスチテュート(オランダ)(Master of Fine Art)
Dutch Art Institute, Arnhem The Netherlands (Master of Fine Art)

「Making Use」 ヴァンアッベ美術館(オランダ)
“Making Use” The Van Abbe Museum, Eindhoven The Netherlands

“DAI Istanbul” Galata Fotografhanesi Fotograf Akademisi(イスタンブール/トルコ)
“DAI istanbul” Galata Fotografhanesi Fotograf Akademisi, Istanbul Turkey

個展「Is Technology a Spectrum of Intimacy?」 ガレリアヘロルド(ブレーメン/ドイツ)
Solo Exhibition “Is Technology a Spectrum of intimacy?」 Galerie Herold, Bremen Germany

2014 個展「Is Technology a Spectrum of intimacy? vol.2」 サイギャラリー(大阪)
Solo Exhibition “Is Technology a Spectrum of intimacy? vol.2” SAI gallery, Osaka Japan

「Free Cinema」 W139(アムステルダム/オランダ)
“Free Cinema” W139, Amsterdam The Netherlands

2015 オランダ ロッテルダム市 芸術家協会助成
Ontwikkeling en Onderzoekssubsidies, CBK Rotterdam

「フィンガーキャップ」 クンストラーハウス ドルトムント(ドイツ)
“Finger Cap” Kunstlerhaus Dortmund, Germany

推薦文

推薦者:西元洋子(ギャラリスト サイギャラリー主宰)

垣内玲は、「トレース」・「在―不在」をテーマに主体性の有無を考察した作品を制作しています。

過去に発表した作品では、制度・規則・作法などをトレースし、再解釈を試みています。人間は生まれた瞬間から、社会制度や知識で生きてゆく仕方をトレースし、世界を形成する事物をなぞり・反復をする。このことは、人間の在り方が版画的な一面を持つと言えることなのかも知れません。版のどちらが元の版(オリジナル)で、どちらが反復されたもの(コピー)なのか、主体はどちらに在るのか、オリジナルとコピーの互いが曖昧になり、主体は時に入れ替わり往復する。そのことに作家は主体の不確かな点滅状態を見出します。

点滅状態が表出したものとして、生物の擬態に眼を向けた作品も制作しています。擬態生物が示すだまし絵のごとき様態は、在(オリジナル)でありながら不在(コピー)でもあり、どちらかをはっきりさせることのない、在―不在が重なり合った点滅状態の存在と言えるのです。

また、“Study for satellites”と題された近作では、地球上空の軌道上に漂う、廃棄された人工衛星に興味を持ちます。宇宙空間を漂う廃棄された人工衛星は、理論上は不朽の可能性を持ちますが、それ故の“死”をも内包しています。「在―不在」あるいは「生―死」とも言い換えられる点滅状態を現す瞬間を抱えるその人工衛星は、在―不在を具現化した理想的な形のひとつである、と作家は捉えています。

立体・ドローイング・写真・映像そして木版などの要素から成り立つ今回の展示では、主体の欠落や在―不在の点滅が表象されます。作品は、視覚的でありながら、むしろ理論的・言語的なコラージュを主とした制作がなされています。一見、判然としづらい視覚的な繋がりを表出させるインスタレーション作品は、在―不在の点滅を見出す展示になることでしょう。