中田有華

Nakada Yuka

2010 武蔵野美術大学卒業制作優秀作品展 武蔵野美術大学構内(東京)
Musashino Art University Degree show SELECTED WORKS Musashino Art Univercity, Tokyo

2011 グループ展「版プリ展2011」 アートギャラリー道玄坂(東京)
Group Exhibition「hanpuri exivition2011」 Art Gallerey Dougenzaka,Tokyo

二人展「中田有華+岩堀洸明」 表参道画廊(東京)
Two Man Exhibition「YukaNakada+Hiroaki Iwahori」 Galerie OMOTESANDO, Tokyo

2013 個展「自生の勢い」 MUSEE F(東京)
Solo Exhibition「ziseino ikioi」 MUSEE F,Tokyo

2014 グループ展 「版画系」 文房堂ギャラリー(東京)
Group Exhibition「Hangakei」 Bunpodo Gallery, Tokyo

二人展「発酵する展覧会」 Gallery OGU MAG(東京)
Two Man Exhibition「ferment exhibition/Yuka Nakada, ennakonoma」 Gallery OGU MAG, Tokyo

2015 第13回 アートプログラム青梅2015 青梅市立美術館、市民ギャラリー(東京)
13th Art Program Ome 2015 Ome City Museum, Citizen gallery, Tokyo

推薦文

推薦者:山口啓介(美術家)

中田有華さんの作品を初めて見たのは2009年の武蔵野美術大学の講評においてです。その年から4年間、1年間に4日だけ、大学で学生さんの作品を見る機会がありました。それまで教師めいたことをした経験はなく、初年は印象的でした。その中でも、中田さんの作品は、どこか古風な染物や織物の雰囲気を伴いながら、モダニズムといわれている、やはり戦後美術史的には古風な成り立ちが重なって見え、慣れない手つきでしたが、それが脱世代的にも思えるところも(彼女は意識していないでしょうが)合わせて興味を持ちました。これは中田さんが使っているシルクスクリーンという技法が、アメリカのポップアーティストらが好んで使ったとはいえ、昔からある型紙を使った染物の方法と原理的には同じものであることを思えば当然だな…などと、足元にあるものを気づかせてくれたような記憶を残しました。それから4年後、シルクスクリーンを主題の一つにしたある企画が起こったとき、ふと彼女はどうしているだろうと思いつつ、探しきれずチラシを刷ろうかという段階になって、突然のように中田さんから個展の案内が届きました。そんなこともあるんだなと驚きましたが、初めてという個展の作品は紙のへりが色彩とフォルムに従うようにカットされ、自由度を増しているようでした。さて、その企画に参加した中田さんは、紙に浸透していくインクを見て「絵には裏もある」と思ったと言っています。最近は水性絵具に移行して和紙を使い、メディウムを染込ませて紙を半透明の状態にした上で絵具を重ねていき、表と裏がどちらも両立できるような絵の在り方を探っている…そして絵具の層が露出する紙のごく薄い断面に注意を促すように紙のへり、エッジに神経を注いでいる点も、絵画でありながら、むしろ彫刻的な視点の移動を要求する、共に欲張りで“不遜”な追求ですが、正面から版の特性を引き出したしなやかな挑戦だと思うのです。