和田 豊樹

Wada Toyoki

2012 東北芸術工科大学版画コース入学
2014~ 日本版画協会展
2015 第40回全国大学版画展
2016 同大学大学院入学
「東北のいぶき 版」展 スルガ台画廊
2017 「ピュシス 萌芽する版画家たち」展 養清堂画廊 鹿島神社参集殿 羊画廊 彩画堂2Fギャラリー
「東北のいぶき perche+版」展 スルガ台画廊
第85回日本版画協会展 〈A部門奨励賞受賞 準会員推挙〉
第42回全国大学版画展 〈町田市立国際版画美術館収蔵賞〉
2018 同大学大学院修了
「ピュシス 萌芽する版画家たち」展 養清堂画廊 鹿島神社参集殿 羊画廊 恵埜画廊
「未来展」 日動画廊
「大学版画展 受賞者展」 文房堂ギャラリー
第86回日本版画協会展 〈準会員佳作賞〉
2019 「第86回日本版画協会展 画廊選抜展」 養清堂画廊
「ピュシス 萌芽する版画家たち」展 養清堂画廊 鹿島神社参集殿 羊画廊 彩画堂2Fギャラリー
第87回日本版画協会展 〈会員推挙〉
2012 Touhoku University of Art and Design enroll
2014~  Japan Print Association
2015 40th university print exhibition
2016 graduate school enroll
2017 phyusis exhibition recommended as japan print association member
42th university print exhibition
2018 Graduate school completion
Phyusis exhibition
Mirai exhibition
University print exhibition prize winner exhibition
86th japan print association
2019 86th japanprint exhibition gallery selection exhibition
Phyusis exhibition
Recommended as 87th japan print association regular member

推薦文

和田豊樹さんの作品について

德山拓一(森美術館アソシエイト・キュレーター)

和田豊樹さんを知ったのは、彼が東北芸術工科大学(以下、芸工大)の学生だった時でした。私が芸工大の洋画コースの非常勤講師として招聘され、学生の制作スペースを回りながら講評していた際に、隣の版画コースの制作室にあった和田さんの作品を偶然目にしました。
芸工大の大学院教育の特徴のひとつに、日本の美術大学教育には珍しく、学生に自作のコンセプトを言語化させる訓練を課しているところにあります。「レビュー」と呼ばれる研究発表では、15分間の持ち時間で学生が自作についてプレゼンテーションし、教員や参加学生、ゲスト講師などからの質疑に答えます。美術批評や国内外の美術の動向において、自身の作品を文脈化するというトレーニングを通じて、現代美術で必要とされる批評性を養おうとする非常に意義のある取り組みだといえます。そうした教育環境の中で目にした和田さんの作品は明らかに浮いていました。独自の世界観を構築しようとする創作態度は、周囲で行われている外に開いていこうとする議論に逆行し、内側へ閉じようとしている行為のようにも見えました。しかし、そこには鑑賞者を惹きつける確信に満ちた表現があり、彼の作品に惹かれながらも、同時に私の中に湧いてきた疑問は、「現代美術作品として、どう評価できるのだろうか?」というものでした。
和田さんが銅版を採用するのは、それが彼自身の「理想的な線の表現」に最適であり、また、版画は「自分の想定しない結果が生み出されるので、ペン画などではなく、版画という技法を選んだ」のだと説明します。表現はペルシャ細密画の影響を受けており、主題は仏教思想が根底にあるといいます。例えば、《行進》(2019年)という作品には、「あらゆる自然の中に神々の行進を感じてほしい」という願いが込められています。《天の世界》(2019年)は、「天の世界の騒々しい様子」を描いたもので、「騒々しい様子」というのは「天の世界は現世よりも遥かに豊かな生命力や活力に満ちていること」だと説明します。
和田さんの作品は、版画というメディアに対する批評性はなく、主観的な主題を扱っている点でも、現代美術としての相対化が難しい作品だといえます。しかし、そこには、幼少期から感じていたという厭世観と孤独のようなもの、そして常に俗世を超えた理想郷を夢見ていたという内的世界が広がっています。
創作の意義を聞くと、和田さんは「私にとって天の世界やその住人を具体的な姿で表現することは現世の苦から救済してくれる慈愛に満ちた存在を眼前に出現させようとする行為だと思います」と答えてくれました。閉じられているように見えた作品世界は、実は外に開かれていくのかもしれません。個人主義的で騒々しい現代美術の中にあって、私が感じた和田さんの作品への違和感と「確信に満ちた表現」とは、利己を追求することで到達するであろう、究極的な利他への願いだったのかもしれません。