重野克明

Shigeno Katsuaki

1975 千葉県生まれ
Born in Chiba

2003 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程版画専攻修了
M.F.A. Printmaking, Tokyo University of the Arts

2004 重野克明新作銅版画展 77gallery(東京)
Copperplate print Solo Exhibition 77gallery, Tokyo

2006 重野克明新作タブロー展 77gallery(東京)
Painting Solo Exhibition 77gallery, Tokyo

2007 日常とその向こう ミュゼ・浜口陽三 ヤマサコレクション(東京)
“Everyday Life and Beyond” Musee Hamaguchi Yozo Yamasa Collection, Tokyo

2008 「いつもあこがれ。」 KIDO Press(東京)
“Always longing” KIDO Press, Tokyo

2009 重野克明新作銅版画展 77gallery(東京)
Coperplate print Solo Exhibition 77gallery, Tokyo

2010 「鳥居みゆき著 夜にはずっと深い夜を 原画展」 KIDO Press(東京)
“Far into the night” by Miyuki Torii the original picture exhibition KIDO Press, Tokyo

2011 「バラ色の生活。」 日本橋高島屋美術画廊X(東京)
“Rosy life” Takashimaya Gallery X, Tokyo

「ローズワールド・色付」 Showcase/MEGUMI OGITA GALLERY(東京)
“Rose world/color” Showcase/ MEGUMI OGITA GALLERY, Tokyo

2012 「Melancholy」 Showcase/MEGUMI OGITA GALLERY(東京)
“Melancholy” Showcase/ MEGUMI OGITA GALLERY, Tokyo

「亀有の憂鬱」 77gallery(東京)
“Gloom of Kameari” 77gallery, Tokyo

推薦文

推薦者:滝沢恭司(町田市立国際版画美術館学芸員)

重野克明の作品がコンペティションに向くとは思わない。小さいし、重厚でもないし、飛びぬけて強烈でもないし、驚異的な技巧で制作したものでもないからだ。しかし彼の作品は、大きなサイズの作品群などに埋もれることなく、とても気になる存在として光っている。それは、この作家が身近な光景や社会に氾濫するヴィジュアル・イメージ、社会の気分やその変化などに敏感に反応し、それらのホットなイメージを独自のスタイルで表現しているからだろう。その手法やスタイルには新旧のサブ・カルチャーのイメージの流用とともに近世や近代の絵画・版画の援用が見られ、知的好奇心が刺激される。

現代版画は、特に1970年代以降、版画であることを放棄するかのようにペインティングとの差を縮める方向へと向かった。さらにインスタレーション作品の構成物の一つとして使われることも多くなった。そのような傾向もしくはタイプの版画・版表現=ファイン・アートが溢れる今日、重野の作品は、版画が本来、印刷と美術、挿絵と絵画、複製とオリジナル、サブ・カルチャーとファイン・アート、マス・カルチャーとハイ・カルチャーといった対概念・対領域の境界線上にあった表現メディアであることを思い出させてくれる。それは彼の作品に、急激に変化した今日のコミュニケーションの方法やそのあり方のイメージが重ね合わせられるからだろう。モバイルを使ってツイートしたりSNSを利用したりする感覚が重野の作品にはうかがえる。