中村桂子
Nakamura Keiko
1966 東京都生まれ
Born in Tokyo
1991 東京造形大学造形学部美術学科研究生修了
Seminarist, Painting, Printmaking, Tokyo Zokei University
第59回日本版画協会展 山口源新人賞受賞 東京都美術館
The 59th Exhibition of the Japan Print Association Gen Yamaguchi Prize Tokyo metropolitan Art Museum
1998 日本の木版画1200年 町田市立国際版画美術館(東京)
Japanese Woodcuts for 1200 Years Machida City Museum of Graphic Arts, Tokyo
1999 個展 ガレリア・グラフィカ(東京)[’04、’06、’08、’11]
Solo Exhibition Galleria Grafica, Tokyo [’04, ’06, ’08, ’11]
2000 五島記念文化財団 五島記念文化賞美術新人賞 受賞
Gotoh Memorial Cultural Foundation The Most Promising Young Talent Prize,
Fine Art Division of Gotoh Memorial Cultural Award in 2000
個展 シロタ画廊(東京)
Solo Exhibition Shirota Gallery, Tokyo
2001 Contemporary Japanese Woodblock prints Edinburgh Printmakers(エジンバラ/イギリス)
Contemporary Japanese Woodblock prints Edinburgh Printmakers, Edinburgh, U.K
2002 Acts of Renewal Victoria&Albert Museum(ロンドン/イギリス)
Acts of Renewal Victoria&Albert Museum, London, U.K
2004 日本の木版画100年 名古屋市美術館
Woodcut Prints in Japan 1904-2004 Nagoya City Museum
2005 VOCA展 上野の森美術館(東京)
VOCA -The Vision of Contemporary Art 2005 The Ueno Royal Museum, Tokyo
2010 生まれるイメージ2010 山形美術館
Descending Images 2010 Yamagata Museum of Art
推薦文
呼吸する「版」
推薦者:水沢勉(神奈川県立近代美術館長)
近年の異常気象の影響が、大型プレス機を使用して、板目木版の作品の制作を夏のあいだ困難にしている、と、藤沢のアトリエで中村桂子から聞いたのは、もうかれこれ7、8年前のことであった。あまりの猛暑であるためにほどよく乾かず、また、逆に空調をかけると、乾きが不自然になってしまう、というのだ。山形に教員としてのしごとを得ている現在では、どうなのかまだ本人に訊いていない。
中村桂子の版画は呼吸している。ドストエフスキーではないが、人間という存在はどんな環境にも馴れてしまう。「版」の呼吸のほうが、条件がはるかに限られているのだ。とりわけ、「版」によって積層された絵具の皮膚の敏感さの点で、ときに「裏彫」も施して微妙な諧調を醸成することが、表現の要となっている中村桂子の「版」の場合はなおさらであろう。
しかし、意志力という点でも、ずば抜けた版画家である彼女は、現状をそのまま肯定するはずはない。最近作では、初期の試みであった金属版との組み合わせに改めて挑戦している。物質としての「版」が、版画家の目と手を介して、この混乱のただなかにある現在の世界を計測するための、どんなバロメータとして機能してくれるのか。
新作の発表が期待されるゆえんである。