今義典
Kon Yoshinori
1967 北海道生まれ
Born in Hokkaido
1994 東京藝術大学大学院修了
M.F.A. Tokyo University of the Arts
1998 Kunstakademie Düsseldorf
Kunstakademie Düsseldorf
1996 北海道ビエンナーレ:語る身体10人のアプローチ 北海道立近代美術館(札幌)[ART SPIRIT HOKKAIDO BIENNAL ‘96-97/Talking Body: Approach of 10 artist] Hokkaido Public Modern Art Museum, Sapporo
1997 グータスローにおける試み クンストフェライン・グータスロー議事堂(グータスロー/ドイツ)
Klasse Jetelova in Guetersloh Kunstverein Kreis Guetersloh e.v Guetersloh, Germany
1999 アートポート99-メデイアセレクト 名古屋港20号倉庫/WAREHOUSE(名古屋)
ARTPORT99/Media Select WAREHOUSE, Nagoya
2001 VOCA 2001 上野の森美術館(東京)
VOCA 2001 The Ueno Royal Museum, Tokyo
生きろ*1980年から現在に至る日本の現代美術展 クレラーミュラー美術館(オランダ)
ikiro-be alive! Contemporary art of japan from1980 until now Kroeller Mueller Museum, Netherland
outer-inter:現代写真の動向 川崎市民ミュージアム(神奈川)
outer-inter/Aspects of Contemporary Photography 2001 Kawasaki City Museum, Kanagawa
2005 D/J Brand 展 東京藝術大学美術館
D/J Brand, Deutschland/Japan The University Art Museum, Tokyo University of the Arts, Tokyo
2008 写真ゲーム:現代写真の母型2008 川崎市民ミュージアム(神奈川)
TOWARDS A GAME OF PHOTOGRAPHY Kawasaki City Museum, Kanagawa
2011 ‘NowAsian Artst’ 釜山ビエンナーレ2010 特別展 釜山博物館(釜山/韓国)
Busan Biennale ‘NowAsian Artst’ Bussan Cultural Centre, Korea
2012 メディア・アーツ・フェスティバル2012 ファイナルカット ICC(札幌)
Media Arts Summer Festival 2012 [FINAL CUT] ICC, Sapporo
推薦文
推薦者:東谷隆司(インデペンデントキュレーター)
ゾンビと百貨店は相性がいい。過去に作られたゾンビ映画では、ゾンビの群れに追われる人々が百貨店に籠城し、身を守るというパターンが一般的だ。しかし、今義典の写真作品「独りゾンビ」(2011)に登場するゾンビは、ただ独り百貨店に迷いこみながら、襲うべき相手がいない。目的を失い誰にも相手にされないゾンビは、なんとも間抜けだ。
今の写真作品は、観る者の哄笑をさそいながらも、笑いにとどまらない深層心理に訴えかける奥行きがある。その心理とは、個人にとっては思い出すのも憚られる恥ずかしい記憶であったり、あるいは奇異な人物への好奇心であったりもする。さらに言えば、被写体である人物の行為やその立ち振る舞いに対し、人間の反倫理的な感情をも刺激する毒が隠されている。しかし今は、それらの被写体を単なる他者/笑いの対象として突き放すだけではなく、愛おしさをもって撮影している。
かつては硬質な写真、映像、インスタレーションで人間の精神世界に着眼してきた今義典は、2006年の作品「川口のあけみ」から一転して、日本人にとってどうしようもなくドメスティックな光景や、映画やドラマのクリシェをなぞりながらも前後の物語を切り落としたような写真を制作している。それらは綿密なロケーション調査の上、モデル、俳優を使い、念入りな演出によって大判カメラで撮影され、細かいレタッチを施すことでさらに様々な物語性が取り込まれる。観る者は各々そのディテールを追いながら写真に写りこんだ物語を読み込むことになるのだ。
東谷隆司さんは、2012年10月16日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。