山下拓也

Yamashita Takuya

1985 三重県生まれ
Born in Mie

2010 名古屋造形大学美術学科総合造形コース卒業
BA, Nagoya Zokei University of Arts and Design

2013 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了
MA, Kyoto City University of Arts

2013 個展“NEXT EXHIBITION / 大木裕之『うちんこ2』” Art Center Ongoing(東京)
Solo Exhibition“NEXT EXHIBITION / Hiroyuki Oki 〈Uchinko〉” Art Center Ongoing, Tokyo

個展“GEISAI#18 和多利浩一賞受賞山下拓也個展” Hidari Zingaro(東京)
Solo Exhibition“GEISAI#18Takuya Yamashita Solo Exhibition for Koichi Watari Prize” Hidari Zingaro, Tokyo

個展“絵” YEBISU ART LABO(名古屋)
Solo Exhibition“Pictures” YEBISU ART LABO, Nagoya

個展“弱弱様” ART ZONE(京都)
Solo Exhibition“jaku-jaku Sama” ART ZONE, Kyoto

個展“弱弱様おNEON” Antenna Media(京都)
Solo Exhibition“jaku-jake Sama NEON” Antenna Media, Kyoto

“あいちトリエンナーレ2013” 長者町会場、岡崎会場(愛知)
“Aichi Triennial 2013” Chojamachi, Okazaki, Aichi

“AT PAPER. EXHIBITION 09” kara-S(京都)
“AT PAPER. EXHIBITION 09“ kara-S, Kyoto

2014 個展“UNDER 35/2014 山下拓也” BankART studio NYK(横浜)
Solo Exhibition“UNDER35/2014 Takuya Yamashita“ BankART studio NYK, Yokohama

個展“museum〆an” 中村キース・ヘリング美術館(山梨)
Solo Exhibition“museum〆an“ Nakamura Keith Haring Collection, Yamanashi

個展“TALIONの子” TALION GALLERY(東京)
Solo Exhibition“TALION’s Child“ TALION GALLERY, Tokyo

“TERATOTERA SOUND FES” コミュニティーステーション東小金井(東京)
“TERATOTERA SOUND FES” Community Station Higashikoganei ,Tokyo

“COVERED TOKYO: Hikarie 2014” Shibuya Hikarie 8/(東京)
“COVERED TOKYO: Hikarie 2014” Hikarie 8/ Cube, Tokyo

“ヨコハマトリエンナーレ2014 創造界隈拠点プログラム/東アジアの夢BankART Life IV” BankART Studio NYK(神奈川)
“Yokohama Triennial 2014 BankART life 4” BankART studio NYK, Yokohama

“SANDWICH|ANTEROOM” ホテルアンテルーム京都(京都)
“SANDWICH|ANTEROOM” Hotel Anteroom Kyoto , Kyoto

2015 個展“THE NAME OF THE GAME(        !)” ORVER THE BORDER(東京)
Solo Exhibition“THE NAME OF THE GAME(        !)” ORVER THE BORDER, Tokyo

“光” TALION GALLERY(東京)
“HIKARI” TALION GALLERY, Tokyo

“他人のセンス” ARTCOURT GALLERY(大阪)
“Someone Else’s Sensibility” ARTCOURT GALLERY, Osaka

“六甲ミーツ・アート芸術散歩2015” 六甲山(兵庫)
“Rokko Meets Art” Mt.Rokko, Hyogo

“RESIDENCE 2015 in BankART妻有” 桐山の家(新潟)
“RESIDENCE 2015 in BankART Tsumari” Kiriyama House, Niigata

“HUB-IBARAKI ART COMPETITION” 茨木市福祉文化会館(大阪)
“HUB-IBARAKI ART COMPETITION” IBARAKI CITY Welfare culture center, Osaka

推薦文

推薦者:加須屋明子(京都市立芸術大学教授)

山下拓也は、日常を取り巻く様々な出来事や記憶のかけらを題材としつつ、そのイメージを型として取り出す手法の際立つ作家である。その取り出した型に基づきながら、イメージを複製し、増殖させ、空間全体を埋め尽くしてゆく。イメージの元になっているのは、実体験に基づいた、何となく覚えている、あるいはそれと気づかず忘れていたような脇役たち、例えばJリーグのチーム、横浜フリューゲルスのマスコット、84年のロサンゼルスオリンピックや96年のアトランタオリンピックのマスコットなどだ。ある類型、いわば「イメージの原型」のようなものがそこに示されるのだが、サイズが大きくなり、また数が増殖することによって、元のイメージから変容し、肥大化して空間に広がってゆく。蛍光塗料など、キッチュでポップな配色や質感にも特徴がある。暗い中で光を放つ、こうした増殖するイメージたちは、元の文脈から取り出されてそのものとして自己主張しはじめており、脇役だったものたちが語り出す。

かつて愛されたキャラクターたちは、今ではほとんど記憶されていないものが多いが、愛らしさの片鱗を残しながらも、それだけに一層、鮮やかでキュートな色合いとあいまって不気味さが見え隠れする。単体で向き合えば可愛らしさを覚えるはずのマスコットたちは、それらが同じ型を用いて複製され、増殖してゆくことによって、多数の塊となって、ある狂気を帯びるようでもあり、複製の課程で生じる過剰さと暴力的な装いに見るものはたじろぐ。暴力の気配は、現代社会における負のイメージ、つまり表面的にはそれとわからないものの、常に背後に見え隠れするある気配とも重なっているのかもしれない。大量生産と大量消費社会が進み、情報の流通の加速と共に、大量のイメージが生産され、消費され、そして忘れられる。こうして過去へと追いやられる、かつては無害で無邪気な装いをまとっていたイメージの残滓が、その覆いも剥ぎ取られて、残忍さと凶暴さを帯びながら迫り来る。