八木良太

Yagi Lyouta

1980 愛媛県生まれ
Born in Ehime

2006-11 個展 無人島プロダクション(東京)
Solo Exhibition Mujin-to Production, Tokyo

2005 神戸アートアニュアル 2005 神戸アートビレッジセンター(兵庫)
“Kobe Art Annual 2005” Kobe Art Village Center, Hyogo

2007 Exhibition as media 神戸アートビレッジセンター(兵庫)
“Exhibition as media” Kobe Art Village Center, Hyogo

個展「クリテリオム70」 水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城)
Solo Exhibition, “criterium70” Art Tower Mito, Contemporary Art Gallery, Ibaraki

2008 個展「エマージェンシーズ8 “回転”」 NTTインターコミュニケーションセンター(東京)
Solo Exhibition, “emergencies #8[Kai-Ten]” NTT Inter Communication Center, Tokyo

2009 ウィンター・ガーデン 原美術館(東京)
“Winter Garden” Hara Museum, Tokyo

2010 ACCレジデンスプログラムに参加 Location One(ニューヨーク)
Artist in Residence with a support of ACC fellowship Location One, New York

2011 MOT アニュアル 2011 ─世界の深さのはかり方 東京都現代美術館(東京)
“MOT Annual 2011 – Nearest Faraway” Museum of Contemporary Art Tokyo, Tokyo

ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR 横浜美術館(神奈川)
“Yokohama Triennale 2011 OUR MAGIC HOUR” Yokohama Museum of Art, Kanagawa

2012 アブストラと12人の芸術家 大同倉庫(京都)
“Her name is Abstra” Daido Warehouse, Kyoto

京都市立芸術大学大学院 美術研究科博士(後期)過程 彫刻専攻 単位取得満期退学
Finished Ph.D. program without dissertation, Kyoto City University of Arts

推薦文

推薦者:松尾惠(ギャラリスト MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w)

八木良太氏は、自身の創造活動を「表現ではない」と興味深い発言をしています。それは、おそらく自身の感情・思想・意志の伝達に関心がないという意味で、新しいアーティストは当然のように自己表現の呪縛から解放されているととることもできるし、現代美術を考えるならば、そこに少なくとも自己の感情はずっと以前から伝達の必要がなかったのではないかと思い当たるのです。

八木氏の作品において、生々しい個人としての作者は希薄です。それは、美術の中に新しい回路をプログラミングし、オペレーターとして介入することこそが、彼の最大の興味だからでしょう。そのように生み出される作品の意義は、モノローグではなく、また、声高なコミュニケーションとも異なりますが、鑑賞者が〈世界〉を共有できる点です。作品の多くは、視覚・聴覚の横断や置換、時間や速度といった概念の可視化、現象化です。見慣れた、あるいは飽きてしまった〈世界〉のごく小さな一部が、それまでと違う形・異なる意味をもって目前に現れます。

いっぽう、時として、操作のおぼつかない鑑賞者、解ける氷・傘にあたる雨粒などコントロール不能な力の介入は、作品に綻びや予定外の結末を生じさせます。それは、八木氏が自身の手から放した身体感覚としてのアート(人の手に成るもの)を誰かによって取り戻すことなのかもしれません。写真、シルクスクリーンプリント、映像、サウンドアートなど、多岐にわたる手法の中をつうじて、八木氏は、無自覚に過ごしていると気づかない〈世界〉を象り、さまざまに支持体を変えながら刻印したり転写したりしているのです。