ながさわたかひろ

Nagasawa Takahiro

1972 山形県生まれ
Born in Yamagata

2000 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修了
M.F.A. Printmaking, Musashino Art University

2008 アートプログラム青梅2008「空気遠近法・青梅-U39」 BOX KI・O・KU(青梅/東京)
The 6th Art Program Ome 2008 BOX KI・O・KU, Tokyo

2010 第13回岡本太郎現代芸術賞展 特別賞(川崎/神奈川)
The 13th Exhibition of the Taro Okamoto Award for Contemporary Art special award, Kanagawa

個展「愛」 art data bank(銀座/東京)
Solo Exhibition, “Love” art data bank, Tokyo

個展「ひとり相撲 銀座場所」 養清堂画廊(銀座/東京)
Solo Exhibition, “Sumoing myself, Ginza basho” Yoseido Gallery, Tokyo

2011 個展「告白/ヤクルト愛」 ギャルリー東京ユマニテ(京橋/東京)
Solo Exhibition, “Confession/My love for the Tokyo Yakult Swallows” Galerie Tokyo Humanité, Tokyo

瞬間から永遠まで eitoeiko(神楽坂/東京)
The Moment at the moment eitoeiko, Tokyo

個展「プロ野球カード at ムサビ」 武蔵野美術大学 gFAL(小平/東京)
Solo Exhibition, “Nippon Professional Baseball card at MAU” Musashino Art University gFAL, Tokyo

個展「応援/プロ野球カード」 eitoeiko(神楽坂/東京)
Solo Exhibition, “Rooting/Nippon Professional Baseball card” eitoeiko, Tokyo

2012 個展「プロ野球ぬりえ2012・前半戦/運動音痴の僕がプロ野球選手になる方法」 BT gallery(神保町/東京)
Solo Exhibition, “Picture colorings of the first half season of the Nippon Professional Baseball in 2012/
This is how I, who have poor sports ability, tried to become a professional baseball player.” BT gallery, Tokyo

個展「プロ野球ぬりえ2012~魔球の伝説~」 eitoeiko(神楽坂/東京)
Solo Exhibition, “Nippon Professional Baseball Coloring Book 2012” eitoeiko, Tokyo

推薦文

推薦者:岩渕貞哉(『美術手帖』編集長)

ながさわたかひろは、3年ほど前、『美術手帖』で私が担当している椹木野衣氏の月評で知った。その個展に行き作家本人に会って、その作風、人柄ともに、誌面に合いそうだなと思い、毎月1ページの連載をお願いすることになった。連載「に・褒められたくて」は、現在も継続していてもうすぐ30回を数える。

ながさわの作品は、自分の憧れるタレント、音楽家、野球選手などに突撃していき写真を撮らせてもらい、その写真をもとに版画を制作。完成後、版画を本人に届けにいき、その1枚にコメントを書き込んでもらってコメントを含めて作品化するというもの。

版画を介して交換されるのは、描く対象へのリスペクトの気持ちと、描かれた相手からの作品に対する率直な感想(批評)である。もし、作品が気に入られずコメントがもらえなければ作品は成立しない。これは貨幣を媒介にした売買関係と相似形をなしている。そして、紙幣も版画の一形態ととらえれば、他者との信用のやりとりの媒介として版画を扱うながさわの手法は、図らずも人間の経済活動の原点に迫っているとともに、版画の本質を突いている。

翻って、私の属する出版業も印刷に用いる版を扱っており、仮にベストセラーを出して版を重ねていったときには、その版は紙幣に近い存在となる。出版に携わるものは、誰しもその錬金術のような妖しい誘惑に取り憑かれている。そうした版の持つ魔力をかいま見せてくれるのが、ながさわの版画作品の魅力である。